
ハロー!食べるの大好きコフンねこです!
今回は愛知県の知多半島に来ています!

↑の写真で分かる通り、知多半島は東海地方醸造生産の中心地。特に名古屋メシの象徴とも言える「豆味噌(赤味噌)」の生産で有名です。
味噌蔵からはなんとも食欲をそそられる旨味の香りが漂う……!
そんな知多半島では醸造調味料の生産でどうしても出てしまう〇〇を再利用する試みがなされているのだとか!?
徹底取材してきました。
料理を美味しくする「たまり」
突然ですが「愛知・名古屋=味噌」のイメージって強いですよね。

東海地方のお味噌は純粋に大豆と塩のみで作る「豆味噌(色の分類で言えば赤味噌)」。

麹菌が2~3年という長い年月をかけて大豆のたんぱく質をアミノ酸に変えることで出来上がる豆味噌は『旨味の塊』でございます。

言うまでもなく名古屋人の食卓の代表です。
しかし、東海地方の調味料と言えば「たまり」も忘れちゃダメ。

「たまり/たまり醤油」は何を隠そう豆味噌を搾ってできる液体調味料。

豆味噌由来のアミノ酸がギュッと凝縮されているため通常の醤油よりもトロっとしていて旨味も強い。
香りこそ弱い「たまり」ですが、料理の旨味を高め食材の照りを出すのには最適です。

隠し味に「たまり」を使う飲食店も多いのだとか。
どうしても出てしまう「搾りカス」
とっても美味しい「たまり/たまり醤油」だけど、豆味噌を搾って作るってことは……「搾りカス」が出ちゃう。
江戸時代以来続く知多半島の味噌・醤油蔵『伊藤商店』さんでも「搾りカス」は悩みのタネでした。

水分が抜けきってカラカラになった搾りカスはもはや味噌でも醤油でもない。味も当然弱い。
実際に食べてみると「ビールに合いそうなちょうどいい塩気と旨味」がある搾りカスだけど、それでも『圧搾機の布目が付着しているため販売はできない』と伊藤商店さん。

日夜大量に出てしまう「搾りカス」。売れないばかりか産業廃棄物として処分するにもお金がかかる厄介な代物だと言います。

しかし、そんな搾りカスについて大きな発想の転換がなされたんだよ。
『人が食べられないなら、牛のエサにすればいいじゃない』
これは革新的なアイディア。搾りカスとはいえ、うまみ成分・アミノ酸の塊であり栄養価も高い。
豆味噌やたまりがあんなに「旨い」のだから、そのカスを食べて育った牛も美味しくなるでしょ(筆者の推論です)!
醤油の名産地「小豆島」では?
香川県小豆島は西日本随一の醤油の名産地。かつては島内に400を超える醤油蔵があり、今でもなお22もの醤油蔵が生産を続けている。とんでもなく多い。


小豆島に特有の醤油としてそのトップに君臨するのが、2年かけて生産した醤油を水の代わりに使用してさらに2年、計4年かけて作られる『再仕込み醤油』です。

蔵の空気感まで詰め込んだような強い香りと旨味。木桶が立ち並ぶ「ヤマロク醤油」さんでも主力商品の一つ。


でもよく考えてみて。再仕込み醤油の生産にあたっては二度「搾ってる」わけですよ。

通常の醤油の2倍「搾りカス」が出る。もったいない……と思いきや、ヤマロク醤油さんでも「醤油の搾りカス」は牛のエサになっているとのことでした!
味噌・醤油からフードロス問題を解決する
環境変動や国家間・地域間格差が大きくなりつつある現代社会では「フードロス」の問題がたびたびニュース等で取り上げられています。
例えば今回の記事でも何度か登場した「牛」も槍玉にあげられる存在。

なんでも牛肉100グラムを生産するのにかかる水の量は、そのエサである穀物100グラムの生産にかかる水の量のおよそ2万倍だって。2万倍のコスト……
また食品の「廃棄」も問題になってますよね。賞味期限を過ぎた食べ物が問答無用で捨てられていく光景は見ていてなかなかに辛い。
だからと言って「肉を食べるのをやめる」とか、もっと言うと「何も食べずに生きていく」とか、そんなことはできません(尤も肉食を辞めている方はいるけれど)。
人間は食べなければ生きていけない生き物です。そうである以上、食料生産にロスが出るのは当たり前。
でも「搾りカス」がエサになるなら?
本来は廃棄するにもお金がかかる厄介な『フードロス』だった「醤油の搾りカス」が今度は家畜のエサとして有効活用される。

できるだけロスを少なく、そして生産にかかるコストも削減し、そのうま味で牛の品質を高める(?)のだとしたらこれ以上最高の解決策はありませんよね。
フードロス問題の解決の糸口として「醤油の搾りカス」が果たす役割はすごい!!!
(コフンねこ)
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