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【静岡は長い】東北⇒大阪を青春18きっぷで移動したら人はどうなってしまうのか?―後編

  • 執筆者の写真: コフンねこ
    コフンねこ
  • 2019年2月12日
  • 読了時間: 9分
前編はコチラ

5日(5回)分を11,850円すなわち1日2,370円で全国のJRの普通列車が乗り放題になる「青春18きっぷ」



速く長時間移動するには特急や新幹線が便利だけど、18きっぷユーザーにはそんなこと許されません。



そんな中、僕はジモト山形から一人暮らしのマンションがある大阪へ地獄の普通列車旅を実行しました。



計〇〇時間を要したこの旅を経て、人はどうなってしまうのか?



感動の【後編】です。



15:37 熱海駅(静岡県熱海市)

普通列車グリーン車独り占めという青春18きっぷ史上最高の贅沢を味わって到着した熱海駅。



引き続き東海道本線を西へ西へ進みます。



ここまではJR東日本の管理する路線にずっと乗ってきたわけですが、ここから先はしばらくJR東海の管轄区域。



はっきり言ってここから先はしばらく拷問です。



⑦熱海15:40→浜松18:14(東海道本線)



JR東日本が普通列車であってもある程度長距離の移動を想定している(cf.グリーン車)のに対し、JR東海の区間は基本的に短距離の利用を主に想定している。



そのため車内は多くの人が乗れるように全てロングシート(ボックス席はない)だし、編成によってはトイレすらない場合もある。



トイレ無いのはヤバイ、危険。


この顔にはトイレありません(wikiより)

これについてJR東海を攻めてはいけない。長距離移動する人は新幹線を使ったほうがいいよ!ってことですから。課金を避けて短距離向けの列車に無理やり長時間乗り込む僕達が悪い。



悪いことはわかっているけれどもトイレ無しロングシート車両への長時間乗車は地獄。18きっぷ利用者にとって静岡は魔境と言われる所以です(新幹線使おうな)。


16:52 静岡駅(静岡県静岡市)

熱海駅を出発して1時間少々、静岡駅でようやくトイレ付きの車両が連結されました。



限界を迎えていた僕はトイレの真横に移動。



それにしてもマジで時間経つのが遅い。短距離利用者が多いので、同じような目的で移動している猛者以外の乗客はドンドン入れ替わっていく。



寝て目を覚したら優しそうなお婆さんが金髪のアラサー女性に変わっていたなんてザラにある。ヤンキーこわいよ。



実はここまで音楽の力に頼ることなく乗車を続けてきたのですが、流石にしんどくなってきたのでなにか聞くことに。



せっかく鉄道の旅なのだから……ということでこんな曲をセレクト。



この曲はNHK BSで放映されていた「列島縦断 鉄道乗りつくしの旅〜JR20000km全線走破〜」っていう番組のテーマ曲『空のコトバ』


https://www.youtube.com/watch?v=raaN6hXnYQQ


僕が旅にハマったきっかけの一つでもあるこの番組の曲を聞けば、なんかこう気分も盛り上がるんじゃないかと思ったのよ。



いやほんとみんなに聞いてほしいんですけどマジでいい曲なんですよ。



別れと旅立ちを表現した感動的な歌詞、力強い歌声。



この日の朝僕を送り出した家族の寂しげな表情、いつになっても地元を離れるというのは辛く悲しいものです。



気がつけば曲を聞きながらガチのマジで号泣していました。



涙が止まらなくなってもうその時読んでた本で顔面を覆い隠すという荒業を使い、少なくとも隣のヤンキーみたいな金髪のねーちゃんにだけは見つからないようにしようと格闘。



まあ多分バレてたけどね……。



人を公衆の面前で大号泣させるとは恐るべし音楽の力、恐るべし静岡という名の魔境。



18:14 浜松駅(静岡県浜松市)

静岡県西部の大都市、浜松に到着。



あともう少しで静岡を抜け愛知に入ることができる!



気が大きくなってしまった僕は、餃子以上に有名な浜松のウナギの駅弁を購入しちゃいました。



確か¥2,500くらいだった記憶ある。気が大きくなりすぎだよ。



もうねーうなぎが手元にあるってとんでもない幸せ。寝ても醒めても静岡県でホントに辛かったけど頑張った甲斐があったもんだと胸をなでおろしたくなります。



じゃあ次の列車で食べるか〜!と思ったところで魔境静岡がトドメを刺してきた。



⑧浜松18:28→豊橋19:05(東海道本線)



終盤に差し掛かりつつあるこのタイミングでまさかの満員。そりゃそうだよ帰宅ラッシュだもの。



わずか30分少々とはいえここまで11時間以上連続で普通電車に乗ってきていて、しかもお腹も減っている状態の立ちっぱなしは辛いものがありました。



19:05 豊橋駅(愛知県豊橋市)

トイレ無しロングシートに泣き、気がついたら隣に座ってる人がちょっと怖い金髪のお姉さんになってて泣き、感動的な歌に泣き。



そして最後にはうなぎ弁当を抱えているのにも関わらず座ることも食べることも許されなかった静岡。



4時間以上かかってようやく完遂です。全行程のおよそ4分の1が静岡とかこれもうわかんねえな?



長かった。身体よりも精神が疲弊した。やばかった……。



静岡はもちろんのことここ豊橋まではずーっと各駅停車だったんです。だから距離に対して時間がかかるわけ。疲弊の要因は主にそこかなと思います。が、



ここから先は青春18きっぷ利用者にとっての大エース"新快速"が走る区間。



並行する名古屋鉄道への対抗のためか座席も短距離利用向けのロングシートからある程度の長距離利用を想定した「転換クロスシート」になり、もちろんトイレも付いています。ありがてぇ。


名古屋鉄道(名鉄)の特急。左側の新快速より豪華だけど追加料金が必要。

そして新快速はめちゃくちゃ速いのでなんかもうこの辺まで来ると終わった気がしちゃいます。



⑨豊橋19:31→米原21:38(東海道本線新快速)



豊橋駅で30分程度時間があって、既に電車も来ていたので停車中に座席を確保。



途中の名古屋や岐阜には1本前の特別快速が先に到着するみたいで、その先の米原まで行くに当たって便利な⑨の新快速にはまだ全然人が乗ってなかった。僕一人だけでした。



ここぞとばかりにうなぎ弁当をかっこみます。



めっちゃ美味かったです。冷めてなければなぁ、、、とか思ったけど、そもそもさっきのあれだけ混んでる車内では仮に座れてもご飯食べたら迷惑だわ。



もちろん発車間際になればそこそこ人は乗ってきました。立ち客もチラホラな感じ。



しかしまあ相当早くから席を確保していたのでもうゆったり爆睡に次ぐ爆睡。



21:38 米原駅(滋賀県米原市)

米原から先はついに普段よく使うJR西日本の区間に突入。



ここまで14時間以上鉄道に乗ってきてようやくゴールが見えてきました。マジでもうやらねーからな。



米原では1分乗り換えが待っています。



⑩米原21:39→野洲22:14(東海道本線〔JR琵琶湖線〕)



隣のホームですので安全安心ですが、18きっぷシーズンの昼間とかここでも席取り合戦になるので非常に厳しいものがあります。夜でよかった。


JR西日本の電車の車内。これが転換クロスシート。


22:14 野洲駅(滋賀県野洲市)

ここまで乗ってきた各駅停車とはおさらば、ついにJR西日本の大エース『新快速』の登場です。待ってました。



⑪野洲22:19→大阪23:17(東海道本線〔JR琵琶湖線→JR京都線〕)



ここまで乗ってきた在来線の列車とは比べ物にならないほどのスピードで夜の東海道線を駆け抜けるJR西日本の新快速がこの日最後の電車。



もうホントに疲れた。次の日授業だし早く帰って寝たい。そんな望みをかなえてくれるのがわれらの新快速。みんな大好き新快速。ありがとう新快速。



新大阪を出てもうすぐ目的地の大阪駅……というところで僕はおもむろに席を立って先頭に向かい、イヤホンで「空のコトバ」を聞きながら大阪駅の姿を眺め始めました。謎。



この旅は本当にいろいろなことがあった。



母に「余計寂しくなる」と苦言を呈されながら出発し、福島では朝ラッシュに巻き込まれ、黒磯近辺では自分のじゃないウ〇コ臭のせいで女子に逃げられ……。



宇都宮では電車の遅れに悩まされ、長い静岡、号泣する僕、その横に座る金髪ヤンキー女性、なかなか食べられなかったうなぎ弁当、とんでもなく速い新快速……。



いろんなことを乗り越えて今大阪駅に到着する。いい感じの歌詞と相まって再び頬を伝う涙。いや、単に疲れてるだけなのか?



23:17 大阪駅(大阪府大阪市)

やったーーーー!!!!!!!!



着いたーーーー!!!!!!!!



朝7:18に米沢を出てから計11本の列車を乗り継ぎ約16時間の道のり。



精神おかしくなってる。ランナーズハイならぬデンシャーズハイ。



明日授業とか完全に忘れて目がギンギンになってしまいました。やっちまった。(※ちゃんと出席しました)



ただ残念なことに大阪から阪急電車で15分程度、石橋まで行かなければおうちには帰れません。



⑫梅田→石橋(阪急宝塚線)



12本目の列車。でも16時間乗った後の15分とかマジで楽勝です(それよりも石橋からまあまあの距離を歩いておうちに行くほうがしんどかったです)。



長時間ずっと列車に乗ってたからか知らないですけど全然足動かしてなかったから「宇宙から帰還した人」みたいなかんじになっちゃってた。



家に着いたころには確か日付をまたいでいたはず。



結局のところ最後に残った感想は「お尻と脚が痛い、あとたくさん泣いたからちょっと目も痛い」でした。



二度とやらねえ。


結論:新幹線を使いましょう。

東北から大阪まで16時間以上ほぼ連続で鉄道に揺られていると人はどうなるのか?


簡単に結論を述べましょう。


  • ちょっとしたことで泣いちゃう

  • 混んでると体と心が一気につらくなる

  • 運行トラブルに巻き込まれると一気に不安になる

  • 静岡長い

  • 脚動かさないから少し歩いただけでマラソン並みの疲労

  • 降りてるときもずっと乗ってるみたいな謎の感覚に襲われる

  • 静岡長い

  • 新快速に対する感謝が止まらなくなる


ざっとこんな感じ。よっぽどのモノ好きじゃない限りオススメできません。特に翌日予定があったら最悪ですよ真面目な話。



道中いろいろな発見やネタになりそうなエピソードとの出会いがあったのは本当に楽しかったし、うなぎ弁当は神だったけれどそれでも僕はこう言いたい。



「新幹線を使いましょう」




のぞみ1号。

無理して青春18きっぷを使い16時間普通列車に乗るくらいなら新幹線に課金するほうがマシです。



今回の場合うなぎ弁当やグリーン車やその他もろもろの購入を我慢し、その後の生活で多少節約すれば少なくとも東京から大阪くらいまでは新幹線に乗れます。



東北でも場所によっては飛行機のほうがかえって安くつくかも?



そうでなくても心身の疲弊を考えたら自ずと答えは一つ。



東北→大阪を青春18きっぷで移動したら、人は崩壊する(主に涙腺と脚とお尻が)。



この辺りを加味して青春18きっぷを利用されるといいと思います。



そもそも……

そもそも青春18きっぷ単体ではJRは全く儲かりません。



新幹線や特急への課金、沿線自治体への観光、駅売店でのお買い物などなどそういった部分で赤字を補填するような、そんなボランティアみたいなきっぷなんです。



だから本来長時間乗るべきじゃない区間を乗るとかそんな無理なことをするのは完全に自己責任。



確かに青春18きっぷで移動するのは間違いなくしんどいものです。



だからといって「トイレつけろ!いい椅子にしろ!ちょっとくらい特急乗せろ!」とか絶対に言っちゃいけない。(しんどいとかは別にいいと思う、要求じゃないから)



だってほぼボランティアなんだもん。ボランティアに「もっと!」を求めるの、どんだけ心狭いの?って感じ。



必要があれば躊躇せず新幹線や飛行機に課金するなど、柔軟で効率の良い18きっぷ利用が求められるのです。



もし18きっぷについて相談があればお問い合わせフォームまで。



お読みいただきありがとうございました!

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