【地獄の検証】東北⇒大阪を青春18きっぷで移動したら人はどうなってしまうのか?―前編
- コフンねこ
- 2019年2月10日
- 読了時間: 6分
更新日:2019年2月12日
みなさんは「青春18きっぷ」をご存知でしょうか。

1枚11,850円で5回(5日)分、JRの運行する「普通列車」が乗り放題になる魔法の切符のこと。
1日2,370円にして日本のあちこちまで行けてしまう。
とんでもない安さを誇る我々貧乏学生にとっての神なんですが、これには大きな罠が仕掛けられています。
「普通列車しか乗れない」
とにかく早く目的地にたどり着きたい?そんなとき普通なら新幹線や特急列車を使うはずです。
しかし「青春18きっぷ」はそれを許さない。まさに諸刃の剣。時間とお尻を犠牲にしなければならないのでございます。
そんな青春18きっぷ、2019年春・夏・冬の3シーズンも発売が決定。
直近で言えば春3月1日からは多くの旅好き・鉄オタの方々が(普段は見向きもしないような)普通列車に乗って旅をすることでしょう。
実際何かの授業で「私春休みに友達と青春18きっぷで東北に行くんだよね~!」という話をしている方もいらっしゃいました。
これを読んでいるかもしれないそんなあなたに向けて、今回は18きっぷでジモト東北(山形県)から一人暮らしの地・大阪まで約○○時間の地獄の旅路の模様をお伝えしたいと思います!
7:00 米沢駅(山形県米沢市)
ある朝、弾丸帰省(これもあとから書く予定)をしていた僕は母親の運転する車に乗って山形県米沢駅に来ていました。
弾丸帰省すぎて滞在時間は約15時間。これから電車に乗ってる時間のほうが長いというバカみたいな状況。
「そんなに短いなら帰ってこないほうが寂しくなかった」と母親に言われる始末。
なんだかんだで別れを告げ、一路福島県に向かいます。

①米沢7:18→福島8:03(奥羽本線)
8:03 福島駅(福島県福島市)
こういう地獄のような旅で大事なのって「座席にありつけるかどうか」なんですよ。
朝っぱらから県境の山奥を往く人など少ないわけだからここまではまあ余裕で座れた。
ほんで福島駅からは東北の大動脈・東北本線に乗り換え。
②福島8:12→新白河9:43(東北本線)

少し考えたらわかるけどこの時間は超朝ラッシュなわけです。
これから普通列車で大阪に行きます!なんていうわけのわからない人が座る席なんて無い。
仕方なく途中郡山くらいまでは立って移動。まだ序盤だからいいとは思った、でも、もしこれから先こんなことがあったら……。
ただし終点の新白河に着くころには車内も青春18きっぷによる長距離移動を目的とした猛者たちだけになってました。どこまで一緒なんだろう。
9:43 新白河(福島県白河市)
新幹線も停まる新白河に到着。白河といえば「白河の関」であるとか白河藩主松平定信なんかが有名です。
まあそんなこと言ったところで今回はただの乗換駅に過ぎないのですが。
乗り換えるのはたった2両編成のディーゼルカー。

③新白河9:54→黒磯10:23(東北本線)
ここから先黒磯という駅で電気システムが切り替わる関係で、その両方に対応した電車または電気を必要としないディーゼルカーを使用しなければならないのでこんなことになってます。
ここから先その黒磯駅方面を目指す人の大半は先ほど述べたような猛者たち。
もちろんここまでの6両編成の電車と比べて定員も少ないわけで、あっというまに車内の座席はほぼ全て埋まってしまいました。そんなにいたのかよ。
10:18 黒磯駅(栃木県那須塩原市)
猛者たちが集団で鉄道についてアツく語っている中、黒磯に到着。
電気システムが切り替わる駅、つまり現代版白河の関と言っても過言ではないこの黒磯。すなわちここから先は首都圏ということになるのです。
めっちゃ達成感。
ただしこれでも距離で言うとまだたったの4分の1にも満たないというところにこの旅の絶望感が詰まってる。ああ果てしない。
黒磯駅ではちょっと見たいものがあったので時間をとってました。
それがコレ。皇室の方々が利用されていた「貴賓室」(の扉)。

東北新幹線開業前までは黒磯駅が皇室の那須御用邸(別荘)へのアクセス駅として用いられていたので、列車を待つ用の設備としてこんな豪勢な部屋(の扉)がある。
もちろん今では皇室の方々は新幹線や自家用車をお使いになるので、在来線の東北本線でいらっしゃることはまずないのですが……。
④黒磯10:49→宇都宮11:41(東北本線)
この車内でちょっとした事件が発生。
電車のトイレに行こうと思ったところ、その目の前には若いお姉さんが二人で立ち話をしてたんですね。
で、まあそこをかき分けるような形でトイレに入ったまではよかったんですが、僕の前に使った人の便(大きいほう)がの残り香が大変臭く、マジで地獄の密閉空間。
鼻をつまみながら用を足したのを覚えています(小さいほう)。
やっとの思いでトイレの扉を開けると、その残り香がトイレ周辺に広がる広がる。立ち話をしていたお姉さんはトイレから出てくる僕を見るなり
「マジ臭、ありえねえ」
みたいなこと言って足早に僕から離れていったのです。僕悪くないのに、小さいほうだったのに。
11:41 宇都宮駅(栃木県宇都宮市)
日本で餃子と言えば福島市と宇都宮市と静岡県浜松市。当然ながら東北から大阪へ向かう道中、この三大餃子都市をすべて通る。

ただし普通電車の乗り継ぎ乗り継ぎというタイトなスケジュールの中では餃子を食べることはおろか見ることすら許されないのです。許さん。
そんな宇都宮ではこの旅初めての不穏が僕を襲いました。
乗車予定の電車が数分遅れて発車する見込みとのこと。これはマズイ。
⑤宇都宮11:55→浦和13:17(湘南新宿ライン横須賀線直通逗子行)
この日5番目の列車である湘南新宿ラインは東北本線を南下しつつ一旦ルートを外れ東京を経由せずに軍港・横須賀方面に足を延ばす運転系統。
僕が行きたいのはあくまで東京を経由で静岡県方面に向かう方向。
当初の予定では途中埼玉県の浦和駅で群馬県からやってきた列車に3分程度で乗り換えてその方向を目指すことになっていました。
つまり数分の遅れは予定の崩壊を招きかねないというわけ。それは非常に困る。
ただしまあ楽しみなこともあった。
ここから先、静岡県最東端の東海道線熱海駅までは普通列車にもグリーン車が連結されています。
ここから熱海までは4時間程度の長い道のり。迷わずグリーン券を購入。

グリーン車は最高です。最高。
途中にはこんな駅も。

そう、僕の通う大阪大学の最寄り駅「石橋駅」と全く同じ名前の駅が栃木県にもあるの。
18きっぷはJRのみ使用可能だからゴールはJR大阪駅となりますが、実はこの日の裏ゴールは阪急電車の石橋駅。
「同じ名前だしワープできたりしねえかな……」って思った。鉄道に5時間以上乗り続けると頭がおかしくなります。
気が付けば大宮に着くころには完全に遅れを回復。
浦和駅で無事高崎線(群馬県)からやってきた上野東京ライン東海道線直通の熱海行に乗車できました。
⑥浦和13:20→熱海15:37(上野東京ライン東海道線直通)
が、現実はそう甘くない。
浦和までの列車のグリーン車はガラガラだったのに、乗り換えた熱海行のグリーン車は満員で立ち客もいるほど。
グリーン車で立ち客だらけってどういうことだよと思いながら乗っていると、熱海の手前湯河原駅でみんな下車。
その結果……。

独り占めできました。なんで。
ちなみに浦和駅3分乗り換えを実行した乗客は僕だけだったので、熱海到着時点では宇都宮くらいまで一緒だった猛者たちの姿も見えなくなった。
猛者中の猛者になることができました。ありがとう(また他の猛者が現れるのだけど)。
後編へ続く……
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