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【秋鹿酒造】無農薬自営田の草むしり体験で有機栽培の大変さがわかった件

執筆者の写真: コフンねこコフンねこ

更新日:2019年7月30日



こんにちは、Our Local編集長のコフンねこです。



突然ですが、「無農薬」「有機栽培」ってなんかむちゃくちゃ良さげですよね。



高級なイメージもあるし、体に良さそうだし、味もしっかりしてそうな印象を抱く方も多いのではないでしょうか。



裏を返せば、それだけ農薬の印象が悪いわけです。



たしかに農薬や化学肥料の中には危険なモノもあります。


しかし、農薬にだってメリットはあるわけですよ。もちろん無農薬栽培にもデメリットはあります。



なのに『無農薬』が無条件で良いとされている……半ば「信仰」みたいに。



今回は、無農薬で栽培を行っている田んぼに出向き、無農薬栽培の大変さやそのこだわりについて伺ってきました。




「農醸一貫」の秋鹿酒造さん

てなわけでやってきました!


能勢町の名物「野間の大ケヤキ」と筆者

ここは大阪府能勢町。大阪府の北端に位置するド・ローカルな土地です。



大阪とは思えないような原風景が広がっている能勢町には、あのG20大阪サミットでも提供された日本酒を造っている『秋鹿酒造』さんがあります。




コフンねこ「G20での提供、すごかったですね!ところで、秋鹿さんの特徴ってどんなところですか?」



秋鹿さん「ありがとう。ウチは『農醸一貫』を掲げてて、お米作りから酒造りをやってるところが特徴やな」



コフンねこ「農業から!?むちゃくちゃ大変そうですね」



※自分たちで作ったお米を自分たちで醸造する――秋鹿さんは全国でも非常に珍しいALL手作りの酒蔵




秋鹿さん「しかもウチは無農薬・化学肥料不使用でやってるから、たしかに



むちゃくちゃ大変やな」



コフンねこ「完全有機栽培なんですね…特に大変なところとかってあります??」



秋鹿さん「夏の田んぼの草むしりはヤバイで」



コフンねこ「是非手伝わせてください!」




こんな話があって、日本酒好きの皆で草むしりのお手伝いをさせていただくことになりました。




『無農薬』の田んぼに入る

向かったのは秋鹿さんの自営田(じえいでん)の一つ。秋鹿さんでは能勢町に100くらいの田んぼを持っているそう。もちろん、全部完全有機栽培です。



長靴を履いて早速田んぼに入ります。小学5年生の頃の農業体験以来、約10年ぶりの水田でした。




コフンねこ「なんだこれ!足が沈んでいく…動けない…!」


この日は秋鹿さんのスタッフ2人、お手伝い5人で作業しました

秋鹿さん「せやな、うまくバランスとらんとダメやな。慣れてくるとなんともないけど」



コフンねこ「難しいです…」




無農薬=生物の宝庫

無農薬ゆえ、田んぼの中には生き物がいっぱい生息していました。




コフンねこ「むちゃくちゃ虫が泳いでますね。…ってかコレ、コオイムシ!?準絶滅危惧種なのに、こんなにたくさんいるなんて…」


コオイムシ(c) OpenCage

秋鹿さん「そんなんめちゃくちゃおるで」



コフンねこ「無農薬だと生態系の豊かさもヤバいですね。…って今度はミズカマキリだ!」


ミズカマキリ(c)Open Cage

秋鹿さん「そんなんもよく見かけるわな」



コフンねこ「僕は初めて見ました…」




無農薬田んぼの天敵「クサネム」

コフンねこ「ところで、どの草を抜いたらいいんですか?」



秋鹿さん「その葉っぱがいっぱいついてるヤツ。『クサネム』っていう名前やねんけど」


クサネム…マメ科の一年草。秋になると黒い粒状の種子を大量にまき散らす。

秋鹿さん「コイツな、放っておくと背丈越すくらい伸びるのよ。それからコイツの黒いタネがお米の収穫の時に紛れ込むと、米の品質が下がってまう」



コフンねこ「美味しい酒米を造るためには草むしりが必須なんですね。うわ、よく見たらクサネムが密集してる箇所がいくつかありますね」


よーく目を凝らしてみると…密集してる!?

秋鹿さん「質の悪いことにコイツらタネ飛ばすから、一本抜き忘れただけで次の年密集して生えてくる。だから抜き忘れたらダメ」



コフンねこ「足はぬかるむし、腰は痛くなるし、おまけに見逃しちゃいけないからめちゃくちゃしんどいです。特に密集箇所を見つけたときの絶望感がヤバイです」



秋鹿さん「まあ、慣れやな」


休憩中。クタクタです。

コフンねこ「(すごい…)草むしりをしなきゃいけない期間ってどのくらいなんですか?」



秋鹿さん「大体夏の間はずっとやらなアカンな」



コフンねこ「しかもこんな感じの田んぼがあと100個あるんですよね。たった一つの田んぼを4時間手入れするだけで辛すぎて倒れるかと思いました。汗も止まらないし…秋鹿酒造のみなさんすごすぎる…」



秋鹿さん「まあ、俺らは慣れてるからな」



コフンねこ「(慣れってなんなんだ…)」」




無農薬へのこだわりとは?

朝からみっちり4時間の作業を終え、もう体はクタクタ。秋鹿酒造さんではこの作業を夏の間ほとんど毎日やると言います。


泥まみれになったので洗ってます。


コフンねこ「すごく失礼な話ですけど、どうしてそこまで無農薬にこだわるんでしょう」



秋鹿さん「農薬とか化学肥料はたしかに便利やけど、お酒の味に響いちゃうから使われへんのよ」



コフンねこ「お酒の味にこだわった結果が『無農薬有機栽培』だったんですね」



秋鹿さん「そうそう」




正直、真夏の草むしりを体験したら、普段食べてる作物の農薬使用の有無なんてあんまり気にならなくなっちゃいました。



だって、熱い中とはいえ大の大人が7人がかりで半日作業しても秋鹿さんの田んぼのクサネムをゼロにはできなかったんですもん。とっても手間がかかるってこと……



農薬や化学肥料でこういった作業ががずいぶん楽になるとしたら、「農薬は悪い!」なんて僕には言えない。



一方で、それだけ手をかけて作られたものはやっぱり美味しいんです。



秋鹿さんのお酒はお米の旨味がダイレクトに伝わってくる味で、この味のための無農薬なんだと実感できます。


こちらで購入可能



農薬使用と無農薬―労働量やこだわりを考えたら、単純に比較できるものではありません。



どちらが良いとかどちらが悪いとかではなく、どちらにもメリット・デメリットはあるわけで……



だからこそみなさんにも是非「生産の大変さ」を知っていただきたいです!


(コフンねこ)

(写真提供・吉田様)

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